社内向けにホームページの状況や費用対効果などを報告する際に、アクセス解析を用いて報告するのが一般的です。
しかし、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールは専門的で利用ノウハウがないとしっかりとした報告書を作成するのも難しいです。
今回は社内向けのアクセス解析報告書の作成方法について詳しく解説していきます。
アクセス解析の報告書とは?
まず、前提条件として、社内向けのアクセス解析の報告書は、ウェブサイトやアプリの利用状況を定量的に把握し、その結果を社内関係者に共有するための重要なツールです。
特にGoogle Analyticsなどの解析ツールを活用することで、具体的な数値やデータをもとにした分析が可能となり、社内の意思決定をサポートします。
以下では、報告書作成の目的や社内説明に必要な視点を解説します。
アクセス解析報告書の目的と重要性
アクセス解析報告書の主な目的は、データに基づいた改善の方向性を共有し、具体的なアクションにつなげることです。
具体的には以下などを考えながらアクセス解析報告書を作成すると意思決定がしやすくなります。
- 成果の可視化
ウェブサイトやアプリで実施している施策の効果を、数値やグラフで示します。たとえば、「訪問者数が増加している」「特定のページで離脱率が高い」など、明確な指標を示すことで、関係者の理解を深めることができます。 - 課題の発見
アクセス解析によって得られるデータは、成功している点だけでなく、改善が必要な課題も浮き彫りにします。たとえば、「モバイルユーザーの直帰率が高い」「コンバージョン率が低下している」などの課題を特定できます。 - 意思決定の材料提供
経営層や各部門に対し、次のアクションプランを提案するための根拠を提供します。具体的な数値や事例を基に説明することで、説得力が増し、意思決定をスムーズに進められます。
報告書が単なるデータの羅列にならないようにすることが重要です。
読む人が「どのデータが重要なのか」「何をすべきなのか」を理解できるよう工夫することで、報告書の価値が高まります。
社内説明に必要な視点とポイント
社内でアクセス解析報告書を説明する際には、聞き手の視点に合わせた情報提供が鍵となります。
役員に報告するのか、現場社員に報告するのかによっても内容は異なり、説明方法も変わってきます。
それぞれの役割や関心ごとを把握し、わかりやすく伝える工夫をしましょう。
- 社内の対象者応じた内容を選ぶ
- 経営層には、売上や全体の成果に直結するデータ(コンバージョン率やROI)を優先して提示します。
- マーケティングチームには、集客施策やキャンペーンの効果を細かく説明します。
- 制作チームには、ユーザーの行動やページの改善ポイントを具体的に伝えると効果的です。
- 専門用語を噛み砕いて説明する
アクセス解析には「セッション」「直帰率」「コンバージョン率」などの専門用語が多く含まれます。これらを使用する際は、わかりやすい例えや具体例を交えて説明すると、非専門家にも理解されやすくなります。 - データの背景と理由を伝える
単にデータを示すだけではなく、「なぜこの結果になったのか」「どのように改善できるのか」を補足することが重要です。たとえば、直帰率が高い原因として「読み込み速度が遅い」「コンテンツが魅力的でない」などを仮説として提示します。 - 具体的なアクションプランを提示する
最後に、次のステップとして取るべきアクションを提案します。改善の方向性が明確であるほど、報告書が実際の成果につながりやすくなります。
重要なのは、データを基に「何を伝えたいのか」を明確にすることです。
社内説明において、データが「活用される情報」に変わることで、報告書の価値が最大化されます。
アクセス解析報告書は、データを社内に橋渡しする重要な役割を担っています。
効果的な報告書を作成することで、組織全体の目標達成に向けた連携が強化されるでしょう。
Google Analyticsを活用した報告書作成の基礎
Google Analyticsは、ウェブサイトやアプリのパフォーマンスを数値化し可視化できるツールです。
アクセス解析報告書を作成する際には、Google Analyticsから得られるデータの種類を理解し、目的に応じた指標を選択することが重要です。
ここでは、具体的なGoogle Analyticsで得られる主要なデータと、報告書作成に役立つ基本的な指標について解説します。
Google Analyticsで得られるデータの種類
Google Analyticsでは、多岐にわたるデータを収集できますが、主に以下のようなカテゴリに分類されます。
- ユーザー属性データ
ウェブサイトを訪問したユーザーの年齢、性別、地域、使用デバイスなどの基本的な情報が含まれます。たとえば、どの地域のユーザーが多いのか、モバイル端末からのアクセス割合はどれくらいかを把握できます。
これにより、ターゲット層に応じた施策を立てることが可能になります。 - トラフィックデータ
ユーザーがどの経路(オーガニック検索、広告、SNSなど)を通じてサイトを訪問したかを示すデータです。これにより、集客施策の効果を測定し、効率的なリソース配分を行えます。 - 行動データ
ユーザーがサイト内でどのように行動したかを示します。たとえば、どのページが最も閲覧されているのか、どこで離脱しているのかなどがわかります。このデータを活用することで、ユーザー体験の改善ポイントを明確にできます。 - コンバージョンデータ
ユーザーが購入や問い合わせといったゴール(コンバージョン)に到達したかを測定します。このデータは、マーケティング施策のROI(投資対効果)を評価するのに役立ちます。
これらのデータを適切に組み合わせることで、報告書に説得力を持たせることが可能です。
報告書作成に必要な基本的な指標(セッション、PV、直帰率など)
Google Analyticsの指標は多岐にわたりますが、報告書作成時に特に重視すべき基本指標は以下の通りです。
- セッション
セッションは、ユーザーがウェブサイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動を示します。
例:1人のユーザーが複数ページを閲覧しても、一定時間内であれば1セッションとしてカウントされます。
全体の利用状況やアクセスの活発さを把握するための基礎指標です。 - 表示回数(PV・ページビュー)
表示回数は、サイト内で表示されたページの総数を示します。
例:1人のユーザーが同じページを何度も閲覧した場合、その回数もカウントされます。
特定のページの人気や、ユーザーがどの程度コンテンツに興味を持っているかを測る指標です。 - 直帰率
直帰率は、サイトを訪問したユーザーが1ページのみ閲覧して離脱した割合を示します。
例:特定のランディングページの直帰率が高い場合、そのページの内容やデザインが改善を要する可能性があります。
直帰率は、ユーザー体験の質やページの適切性を評価する重要な指標です。 - 平均セッション時間
サイト内でユーザーが滞在した平均時間を示します。この指標は、ユーザーがコンテンツにどれだけ興味を持ったかを測定するために役立ちます。 - コンバージョン率
訪問者のうち、目標を達成した割合を示します。たとえば、購入、資料請求、問い合わせなどの行動がこれに含まれます。
コンバージョン率は、マーケティング施策の最終成果を示す最も重要な指標の一つです。
重要なのは、データを報告書に羅列するだけでなく、指標が示す「意味」や「改善のヒント」を解釈し、具体的なアクションプランにつなげることです。
これにより、報告書はデータから生まれる価値を最大化し、関係者全員の目標達成に貢献できるでしょう。
社内の目的に合わせたデータ選定のポイント
アクセス解析報告書を作成する際には、社内の目的や聞き手に合わせたデータ選定が重要です。
経営層、マーケティングチーム、制作チームなど、対象となる部門や役職によって関心や必要とするデータが異なるため、的確なデータを選び抜き、わかりやすく提示することが報告書の効果を高めるポイントです。
経営層向け:全体の成果と意思決定の材料
経営層にとって重要なのは、会社全体の成果や戦略的な意思決定につながるデータです。
具体的には以下のようなデータを優先して提示しましょう。
- 売上やROIに直結する指標
- コンバージョン率(購入、問い合わせ、資料請求など)
- ROI(広告やキャンペーンの投資対効果)
これにより、具体的な成果を示すことで、戦略の正当性を説明できます。
- 全体のアクセス動向
- 訪問者数(ユニークユーザー数)
- セッション数の増減傾向
例えば、「訪問者数が前年比で20%増加した」といったデータは、ビジネスの成長を分かりやすく伝える要素になります。
- 競合と比較したパフォーマンス
- 市場でのシェアや競合他社との比較が分かるデータがあれば、経営層にとって有益です。
競争優位性を示す指標は、経営層の意思決定をサポートします。
競合のデータはSimilarwebなどを利用すると無料で調査することができます。
- 市場でのシェアや競合他社との比較が分かるデータがあれば、経営層にとって有益です。
経営層に向けた報告書では、データの詳細よりも全体像を捉えたサマリーやグラフを活用し、意思決定を後押しする簡潔なプレゼンテーションが重要です。
マーケティングチーム向け:施策ごとの詳細データ
マーケティングチームは、具体的な施策の効果を分析し、次のアクションを決定するために、施策単位の詳細なデータを必要とします。
例えば以下のようなデータを活用すると効果的です。
- 流入元ごとのパフォーマンス
- オーガニック検索、広告、SNS、リファラーなど各流入経路の詳細データ。
例:「広告キャンペーンのCTRが10%増加し、コンバージョン数が2倍になった」など、具体的な成果を示します。
- オーガニック検索、広告、SNS、リファラーなど各流入経路の詳細データ。
- ユーザーセグメント分析
- 地域、デバイス、年齢層別のデータ。
ターゲット層ごとの行動傾向を把握することで、効果的な施策の立案が可能になります。
- 地域、デバイス、年齢層別のデータ。
- キャンペーンごとの成果測定
- 特定の広告やプロモーションに関するクリック率(CTR)、コンバージョン率、費用対効果(CPAやROAS)。
施策ごとの評価を基に、今後の予算配分や改善計画を決定します。
- 特定の広告やプロモーションに関するクリック率(CTR)、コンバージョン率、費用対効果(CPAやROAS)。
マーケティングチームに向けた報告書では、施策ごとに明確な結果を示し、改善のための提案を盛り込むと良いでしょう。
制作チーム向け:ページ単位の改善ポイント
ホームページの制作チームにとって重要なのは、ユーザー体験の改善や具体的なページ修正に直結するデータです。
以下のようなデータを提示するのが効果的です。
- ページ単位のパフォーマンスデータ
- 各ページの直帰率、滞在時間、スクロール率。
例:「直帰率が高いランディングページでは、読み込み速度が3秒以上かかっている」など、具体的な改善ポイントを明示します。
- 各ページの直帰率、滞在時間、スクロール率。
- エラーや離脱ポイントの特定
- ページ内リンクのクリック率、フォーム離脱率などのデータを用いて、ユーザーが操作に困難を感じる箇所を特定します。
問題点が分かれば、具体的な修正案を提示できます。
- ページ内リンクのクリック率、フォーム離脱率などのデータを用いて、ユーザーが操作に困難を感じる箇所を特定します。
- ABテストの結果
- ページデザインやコンテンツの変更による成果を提示し、効果的な方向性を共有します。
例えば、「ボタンの色を変更したことでCTRが15%向上した」という具体例を提示すると、説得力が増します。
定量的なアクセス解析も重要ですが、定性的なUIの改善提案なども有効的です。
- ページデザインやコンテンツの変更による成果を提示し、効果的な方向性を共有します。
制作チーム向けの報告書では、具体的なデータに基づいた提案をわかりやすく伝えることが鍵です。
図表やスクリーンショットを活用することで、視覚的な理解を促すと良いでしょう。
各部門の目的に応じたデータ選定を行うことで、報告書の説得力と実効性が向上します。
聞き手が「自分たちに必要な情報がわかりやすく整理されている」と感じることが、報告書作成の成功の鍵です。
効果的なアクセス解析報告書の構成
アクセス解析報告書は、単なるデータの羅列ではなく、わかりやすい構成で成果と改善ポイントを明確に示すことが重要です。
以下は、効果的な報告書を作成するための基本構成と、それぞれのポイントです。
導入:報告書の概要と目的を明確に
報告書の冒頭では、何を目的にした報告書なのかを簡潔に記載することが重要です。
これにより、読み手は報告書全体の意図を理解しやすくなります。
- 概要の提示
「本報告書は、〇〇月におけるウェブサイトのアクセス状況を分析し、集客施策の効果と今後の改善方針を提案するものです」といった形で、全体の概要を一文でまとめます。 - 目的の明確化
「アクセス増加の要因を特定し、ユーザー体験を向上させるための改善提案を行う」など、具体的な目的を記載します。
導入部分は短く簡潔にまとめ、読み手の興味を引く内容を意識しましょう。
主要指標のサマリー:一目で分かる成果指標の可視化
次に、全体の成果を把握できる主要なデータを、サマリーとして提示します。
経営層や忙しい読者向けに、短時間で理解できる構成が重要です。
- 具体例:主要指標をサマリー形式で可視化
- 訪問者数:〇〇人(前月比+10%)
- コンバージョン率:〇〇%(前年比+5%)
- 平均セッション時間:〇〇分〇〇秒
などの主要指標を簡潔に並べ、増減をグラフや表で視覚的に示します。
- 成果を強調するコメント
たとえば、「オーガニック検索からの流入が前年比20%増加し、広告費用対効果が大幅に改善」といった補足コメントを加えると、報告書に説得力が増します。
主要指標をシンプルにまとめることで、詳細データへのスムーズな誘導が可能になります。
詳細データの分析:セグメントごとの深掘り
サマリーで示した全体の傾向をもとに、詳細データをセグメントごとに深掘りして分析します。
具体的な数値やその背景を説明することで、施策の効果や課題を明らかにします。
- ユーザーセグメント別の分析
例:デバイス別(モバイル vs. デスクトップ)、地域別、訪問者属性別のデータを分析し、それぞれの傾向を示します。
「モバイル訪問者が全体の70%を占め、平均セッション時間が短い傾向が見られる」など、具体的な洞察を記載します。 - 流入経路の比較
例:オーガニック検索、広告、SNS、リファラルなどの流入経路ごとにパフォーマンスを評価。
「広告キャンペーンがCTR 15%を達成し、新規ユーザー獲得に貢献」などの成果を具体的に記載します。 - ページ単位の分析
特に直帰率や滞在時間が課題となっているページを特定し、その原因や仮説を提示します。
「〇〇ページの直帰率が50%を超えているため、内容やCTAの改善が必要」といった分析結果を明確に記載します。
詳細分析部分は、データを基に「なぜこうなったのか」を考察し、読み手が理解できる形で説明します。
次のアクションプラン:改善提案と具体的なアクション
報告書の最後には、データ分析に基づいて具体的なアクションプランを提案することが重要です。これにより、報告書が実際の施策につながります。
- 改善ポイントの優先順位付け
- 「直帰率が高いランディングページを改善する」
- 「広告キャンペーンの成功事例を他の流入経路にも展開する」
など、改善すべき内容を優先順位をつけて提示します。
- 具体的なアクションの提案
- 例1:「〇〇ページの読み込み速度を改善するために画像圧縮を実施」
- 例2:「次回のキャンペーンでは、モバイルユーザー向け広告を強化」
具体性が高いほど、読み手が行動に移しやすくなります。
- 期待される成果を示す
提案するアクションがもたらす成果を簡潔に説明します。
「改善後は直帰率を30%減少させ、コンバージョン率を10%向上させる見込み」といった形で記載すると説得力が増します。
社内向けアクセス解析報告書作成が難しければミゴエイトへ
社内向けアクセス解析報告書は作成には多数のポイントがあり、誰に何を報告するのかにより抽出するデータが異なることをお伝えしました。
また、アクセス解析報告書でありながら、ほかのツールを組み合わせることでより効果が発揮されます。
これらは高いノウハウと経験が必要となり、ご多忙な企業の担当者が一から集計していくのは手間暇がかかり工数が発生します。
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